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過去最多を記録した「障害者」の就職――「ノーマライゼーション社会」の到来か?
景気回復と人手不足を背景に、労働市場が活気づいている。厚生労働省によると、6月の有効求人倍率は1.10倍で、1992年6月以来22年ぶりの高水準となっている。新卒の就職状況も回復し、高卒の就職率は98.2%でバブル期並みだという。
そんな状況のなか、障害者の就職状況も順調に上向いているようだ。厚労省によると、2013年度に全国のハローワークを通じて就職した障害者は、7万7883人(前年度比14%増)で、4年連続で過去最高を更新した。また、就職率も45.9%と、4年連続で上昇したという。
このような数字だけを見ていると、誰もが普通に暮らせる「ノーマライゼーション社会」に近づいているようにも思える。障害者の労働問題に取り組む弁護士の目に現状はどう映っているのか、「働く障害者の弁護団」代表をつとめる清水建夫弁護士に聞いた。
「もう世に出てくるな」芦原妃名子さん死去で関係者に中傷続出 投稿消しても法的責任は消えず
『セクシー田中さん』の原作者で、漫画家の芦原妃名子さんが亡くなったことをめぐり、ドラマ化で関わった脚本家やそのSNSにコメントを投稿した人に対する誹謗中傷がネット上で相次いでいる。
同作のドラマ化で脚本を務めた相沢友子さんのSNSにコメントをした写真家の泉美咲月さんは、「芦原先生の訃報を受けて、ファンと思われる方から『人殺し』『もう世に出てくるな』『詫びろ』という恫喝の言葉や、身に覚えのない『なぜ芦原先生を攻撃した』という内容のメッセージが多々届く」とSNSに投稿。「寄せられる言葉に恐怖すら感じております。今や家族も身の危険を感じております」と心情を吐露している。
相沢友子さんのSNSは1月31日時点で非公開となっており、泉美さんのコメントも確認できない。泉美さんによると、「ドラマが終盤になって流れが変わったように感じていたこともあり、素直にその投稿の感想を書きました」とし、「『尊厳』と明記したことは、多々ある制作事情の上で両先生のご事情を察して明記したものでした。書き手、作り手というのは、皆さま孤独なもので、それを察しての発言で、それ以上でもそれ以下でもありません」と記している。
泉美さんのコメントに対してはXなどでも様々な投稿がされているが、誹謗中傷や泉美さんの言う恫喝の言葉を投げかけたSNSでの投稿やアカウントは、投稿者本人が今後「消して逃げる」可能性もある。
泉美さん自身は法的措置などについて言及していないが、誹謗中傷に当たる投稿やアカウントを消せば、法的責任から逃げきれるのか。清水陽平弁護士に聞いた。
「舞いあがれ!」悠人にインサイダー疑惑、どんな罪? 大雨の公園で倒れ、SNSで心配の声
NHK連続テレビ小説「舞いあがれ!」で、主人公・舞(福原遥)の兄で投資家の悠人(横山裕)にインサイダー取引疑惑が浮上して、大ピンチを迎えている。
投資で損失が膨らんでいた悠人は、「目を付けていた」という企業の株が急騰して、一気に26億円の損失を取り戻した。しかし、その後、テレビでインサイダー取引疑惑が報じられ、母めぐみが経営する町工場「IWAKURA」にも取材陣が押し寄せていた。
2月6日の放送では、家族からの電話にも出なかった悠人が、大雨の公園をさまよいながら倒れてしまうシーンもあり、SNSでは心配の声も上がっている。
インサイダー取引とはどのようなものか。どんなペナルティがあるのか。今井俊裕弁護士に聞いた。
ゆるキャラ危機一髪!知らないうちに「商標登録」されそうになった四国の「こまポン」
「くまモン」(熊本県)や「ひこにゃん」(彦根市)に代表される全国の自治体の「ご当地ゆるキャラ」。各地で人気が定着するにつれ、商標などをめぐる問題が出てきているようだ。徳島県小松島市の公式ゆるキャラ「こまポン」(写真は小松島市提供)はこのほど、まったく関係のない市外の企業によって、勝手に名前を商標登録されそうになり、危機一髪で難を逃れた。
中3男子が死亡「タイマンリレー」 少年6人の刑事責任は?
「タイマンリレー」と称して、中学3年の男子生徒に集団で代わる代わる暴行を加えたとして、いずれも16歳の少年6人がこのほど、傷害の疑いで神奈川県警に逮捕された。
報道によると、少年6人は1月4日夜、横浜市内の公園で、男子生徒に殴る蹴るなどの暴行を加え、頭部に重傷を負わせた疑いがある。暴行後、意識不明の重体となっていた男子生徒は1月15日、死亡した。
6人とも容疑を認めており、「勝手に暴走族の名前を使われた」「暴走族への加入をめぐる約束を破られた」などと話しているという。
いっせいに暴行を加えたわけではないとしても、「タイマンリレー」と称する1対1の殴り合いに参加させて、代わる代わる殴った結果、相手を死なせてしまった場合、刑事責任はどうなるのだろうか。伊藤諭弁護士に聞いた。
旧統一教会の政府救済案「正常な判断失った信者の実態見えていない」弁護団がバッサリ
世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題をめぐり、政府の救済案がまとまりつつある。閣議決定した消費者契約法と国民生活センター法改正案、新法の概要について、全国霊感商法対策弁護士連絡会(以下、全国弁連)が11月21日、「不十分で実態に即しておらず、救済の役に立たない」として会見を開いた。
救済新法案では、寄付の勧誘への禁止事項を「個人を困惑させてはならない」と定めている。これに対し全国弁連は「良いと思い込まされている場合は、困惑しているとは言えない。『正常な判断ができない状態にあることに乗じた』も規制すべきだ」とし、いわゆるマインドコントロールに代表される状態での勧誘も対象とするよう強調した。
また、2018年の改正消費者契約法に盛り込まれた「健康不安商法」も抜け落ちていると指摘。紀藤正樹弁護士は、消費者庁の検討会でも訴えたにもかかわらず脱落したのは「官僚は分かっているはず。他に異論を持つ人がいるのではないか」と疑問を呈した。
山口広弁護士は「せっかく法をつくるのに、実態を踏まえないのは放置できない。ぜひ実現してほしい」と訴えた。
「じゃぶじゃぶ池」の子どもを狙う不審なカメラ 第三者の“盗撮”を罪に問えるのか?
夏になると子どもたちでにぎわう「じゃぶじゃぶ池」。この季節のお楽しみですが、一方で、水着姿の子どもを撮影目的に訪れる不審者が例年、報告されています。
全国各地の公園などに設けられている「じゃぶじゃぶ池」は、主に未就学児から小学校低学年の子ども向けの水遊び場。プールよりも手軽に利用できることから、気軽に楽しむ親子連れが多いです。
しかし、撮影が禁止されていることの多い有料プールと異なり、「じゃぶじゃぶ池」は誰でも近くによることができるうえ、撮影もできる場所が多いです。さらに、更衣室もないことから、「じゃぶじゃぶ池」で着替える子どもの裸や、水着姿を盗撮しようとする不審者が絶えません。
もしも、「じゃぶじゃぶ池」で、保護者ではない第三者が子どもの水着や裸の写真を撮影した場合は、どのような罪に問われるのでしょうか。2023年7月に施行された「性的姿態撮影罪」にあたる可能性はあるのでしょうか。奥村徹弁護士に聞きました。
打ち上げ花火が描くキティちゃんやドラえもん・・・著作権者の許可は必要?
夏の夜空を彩る大輪の打ち上げ花火。花火大会では近年、アニメキャラクターをかたどった花火が登場し、観客を楽しませている。キャラクター花火が打ち上がるたび、「あっ! キティちゃんだ」「こんどはドラえもんだ」と、あちこちから子供たちの歓声があがる。そこでふと疑問が浮かんだ。あれって、著作権的に問題はないの?
キャラクターの形をした花火は「型物」と呼ばれる花火の一種。玉のなかに星(火薬)を平面上に並べることで、空に巨大な絵を描く。ハートやアルファベットといったシンプルな図案が多いが、人気キャラクターを模したものも次々と登場しているようだ。
だが、有名キャラクターには著作権がついてまわる。キャラクター花火にも著作権者の許可や著作権料の支払いが発生するのではないだろうか。一瞬のこととはいえ、何万人もの観客を前に著作物を「描く」のだ。もし許可なくやっていた場合、問題とならないのだろうか。南部朋子弁護士に聞いてみた。
●空に浮かんだ花火そのものは、著作権法上の「複製」と言いがたい
「まず、前提として、キャラクターの絵は著作物として著作権で保護されています。著作権者は、その著作物を他人が無断で複製することを禁止することができます」
――キャラクター花火は複製といえる?
「まず、著作物の複製といえるには、できあがったものが元の著作物に類似している必要があります。キャラクター花火といっても、そのキャラクターの特徴を再現しているレベルによっては、複製にはあたらないこともあります。
また、著作権法でいう複製は、『有形的な再製』を指すとされ、著作物を媒体(紙、フィルム、磁気テープ・ディスクなど種類を問いません)に固定してはじめて『複製』したことになります」
――それでは「花火」の場合は?
「キャラクター花火を打ち上げる行為そのものは、キャラクターの絵を媒体に固定するわけではないので、そもそも『複製』とは言い難いと思われます。
ただし、キャラクター花火の花火玉の作成段階で、花火玉の設計図を描いたり、火薬を平面上に並べたりする行為は、紙面や花火玉という媒体にキャラクターの絵という著作物を固定するという複製行為にあたると評価される可能性はあります」
――結局のところ、セーフ・アウト、どちらと考えれば良い?
「判断が微妙な場合も多いと思われます。ただ、著作権者の許可なく『キャラクター花火』と明確にアナウンスして花火を打ち上げると、問題になる可能性が高いといえるでしょう。また、権利者の許可なくキャラクターの名称等を使うのは、不正競争防止法や商標法との関係で問題があり、やめるべきでしょう」
猫を“ひき逃げ”、動揺して何もできなかったドライバーの後悔 どう対処すればよかった?
車で猫をひいてしまった動揺でその場から離れてしまいましたが、警察に連絡するべきでしょうか──。こんな相談が弁護士ドットコムに寄せられました。
相談者が深夜23時頃に車で走行していた際、突然脇道から猫が飛び出してきたそうです。猫を避けることができずひいてしまいましたが、初めての経験で動揺し、その場から離れてしまいました。
10分後に現場へ戻りましたが、遺体は道路の側面に寄せられており、翌日には遺体は片づけられていたといいます。
猫が飼い猫か野良猫かは不明で、事故からすでに一定期間経過していますが、相談者は警察に連絡するべきかどうかを悩んでいるようです。
車でひいた猫を放置した場合、何か法的責任を問われるのでしょうか。坂口靖弁護士に聞きました。
市販薬120錠飲み、搬送された少女 若者の間で広がる「オーバードーズ」の実態
「大事なギターで私の背中を殴った父を、殺せるものなら殺したかった」。ある少女(19歳)は、大量の市販薬を一気に飲むことがある。
咳止め薬をもらったのがはじまり。最初は10錠だったものが、今では120錠まで増えた。意識を失い、救急車で運ばれたこともあるという。
若者の間で、市販薬を大量に飲む「オーバードーズ(OD)」が広がっている。国立精神・神経医療研究センターの調査では、高校生の約60人に1人が経験ありと答えた。未成年でもドラッグストアやインターネットで容易に手に入る状況に、救急医は「子どもに死ねる手段を与えている。対策は急務だ」と訴えている。